発刊日: | 2013年1月 |
---|---|
税抜価格: | 358,000円(ハードコピーのみ)/ 398,000円(ハードコピー及び電子ファイル) |
本レポートでは多くの視点から、新たな表示技術や3Dの今後の方向性について分析した。3Dに関しては、明らかに第3の波はピークを過ぎて下降局面にある。しかし、それは大波の中の振幅であり、このまま大波が終わることはないと本書は分析している。 それは、海外事業者の高いモチベーション、「臨場感」や「没入感」などの「3Dの魅力」を享受できる領域へのプロダクトの収斂(3Dの「純化」)、偏光メガネ方式へのシフトなど、近い将来の4Kパネルベースの高画質裸眼3Dによる「カジュアル化」への準備が着実に進んでいるからである。その分析の方向性の的確さは、事業者アンケートの分析と一致すると同時に、アンケートの結果が更に分析の深化をもたらした。 4Kや有機ELの今後は、Full-HD LCD→4K LCD→4K 有機ELとなることはほぼ確実な状況である。4K LCDの普及と共に、見易い苦痛の無い裸眼3Dが2014年から本格的に上市されることもほぼ確実である。4Kが3Dの動向に前向きな影響を与えることになる。 国内外の3D事業者へのアンケートでは目から鱗の貴重な分析結果が得られた。日本国内の3D停滞感、海外の好調感の落差は予測された範囲ではあるが、その原因となる要素がいくつか明らかになった。
「構えて観る」3Dでは、100%のユーザに受け入れられることはない。本レポートで示した「Over-layered Segment」分析は「3Dの魅力」を明確にした上で、3Dに対してアクティブな「構えて観る」層の支持を拡大するため、3Dプロダクトは大型TV、プロジェクタ、HMD(仮想大画面)に重点を置くべきであることを示した。企業のプロダクト動向もそこに活路を見出そうとしている。「Over-layered Segment」分析では、その先にさらに多くの支持を得るための「カジュアル化」の方向性を示した。4Kの浸透に伴う、裸眼3Dの進化は「カジュアル化」の最たるものと言える。
一方最近の3Dコンテンツの進化は目覚ましく、特に質感・距離感の表現には各段の進歩が見られる。同時に、苦痛のない裸眼3Dへの対応も進んでいる。3D民生プロダクトで取り残されてしまった感のある、スマホやタブレットの3D化は、「Over-layered Segment」分析からも、小画面ならではの「没入感」という「3Dの魅力」を活かすコンテンツの不足が原因の一つである。「3Dの魅力」を実感できる魅力あるコンテンツの不足>見やすい映像を提供するコンテンツ技術>デバイスの表示技術、の順で普及に失敗した理由が挙げられる。
「没入感」の成功例としては、ニンテンドー3DSが挙げられる。今後、3DPC /Tablet /Smartphoneにおける3D民生の拡大は、そのデバイスの特性を活かした「3Dの魅力」を実感できるコンテンツがその多くを担う。。
3Dは、現在の市場へのアプローチの是正と次のステップへの移行の同時進行のタイミングであり、2013年が新ステップ元年として重要な一年となろう。