(市場調査レポート)社会インフラモニタリングにおけるWSNとEH-WSNの拡大動向

発刊日:2013年7月26日
ページ数:150ページ
税抜価格:500,000円(ハードコピーのみ)/ 600,000円(ハードコピー及び電子ファイル)
目次
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レポート発刊の背景と概要

エナジーハーベスティング(以下EH)の最大のアプリケーションとしてワイヤレス センサーネットワーク(以下WSN)への応用が期待されている。そのWSN は、笹 子トンネル天井崩壊事故をきっかけとして今後急増する、老朽化社会インフラの 予防保全分野におけるインフラモニタリングシステム(IMS)で大きな飛躍のチャ ンスを得ようとしている。

IMSは、センシングと構造物のリスク分析の理論的な整合性研究の進化段階とし て、短期・中期・長期の活用のあり方が検討されており、早い段階から事業規模 の急拡大が想定されている。エナジーハーベスティングを利用したWSN(以下 EH-WSN)は、その最大の特徴が自立型であることからIMSには応用適性が高 く、期待できる市場である。

本レポートでは、IMS向けWSN、EH-WSN の立ち上げに向けて、関連する国の 政策、エンドユーザーのニーズの整理、及び、市場参入の課題とその解決策、 参入障壁を乗り越えるために必要なトリガーなどを明らかにし、各参入プレイ ヤーが取るべき戦略を明らかにする。

目次(大項目のみ)

  1. 社会インフラモニタリングシステムの全体動向
  2. WSN、EH-WSNのIMS応用の課題と解決策
    (政策面、ビジネスモデル、学術、技術動向等)
  3. IMS関連WSN,EH-WSN の技術戦略ロードマップ
  4. IMS関連WSN、EH-WSN 市場構築のスキームと参入機会
  5. IMS関連企業の事業戦略個票 25社(ユーザ、SI、デバイス)
  6. IMSにおけるWSN、EH-WSN実施例
詳細な目次

要約

  1. 我が国の社会インフラは、産業・経済活動の基盤となってきたが、これらの 多くは1995 年からの高度経済成長期に建設されたものが多く、建設後50 年 を超えるインフラの比率は、2029 年度には、道路・橋で51%を占めるほどとな る。今後のIMS の事業規模は予防保全の考え方に従い拡大は必然の動向 である。
  2. IMS におけるWSN 応用市場は、国家予算による実証実験による大規模 なトライアルから、構造物に発生した亀裂などの状態監視を行う局所モニタリ ングなどの小規模な応用まで幅広い。後者に関しては、技術的には既に実用 化フェイズに達しており、今後の課題は商流の開拓とユーザーへの訴求であ る。当面は、ビジネス化を優先して、電池駆動が先行するが、逐次EH-WSN の市場投入の見通しとなっている。
  3. IMS においては、電源・通信ケーブル敷設工数及びコストの削減におい てWSN が優位性を持っている。今後は更に、ワイヤレス通信におけるプロトコ ル・利用周波数・出力などの標準化による通信の安定性・確実性の確保が求 められる。特に周波数の900MHz 帯への世界的な標準化の動向は、通信用 IC などデバイスのコストダウンにつながり、普及が加速する。
  4. 長期利用が前提となるIMS において、EH-WSN は、センサーノードの電 池交換を不要としWSN の長期メンテナンスフリー化を可能にする。長期視点 におけるコスト削減効果が見込まれ、EH-WSN を期待する声も大きい。現在 EH が普及に向けて解決すべき課題として、@センサの長寿命化、AEH の 長寿命化、B発電能力の向上、などが挙げられる。ビジネスモデルの問題も 加えて、これらの課題の解決が必須となっている。
  5. 上記の課題解決のために、各社の考え方やユーザーニーズを踏まえて解 決の方向性について本レポート内で分析・提案する。

推奨事項

今後伸長が期待されるIMS市場で利用されるネットワークは現時点では有線 が優勢である。WSN の利用率を拡大するためには、グローバル視点に立った 通信規格の標準化を進め、日本の優れたデバイスのグローバル展開を可能 にすることが求められる。

また、EH-WSNの普及を促進するためには、EHの長寿命・メンテナンスフ リーという訴求点を有効化する必要がある。現状の電池を前提とするWSN の ビジネスモデルの呪縛にとらわれず、その転換を可能にする新たな次元のメ リットをユーザに提供する戦略モデルが求められる。それを実現する開発・提 案が必須である。

関連する各社が、新たな潮流を作りだすチャンスを捉えた緻密かつ大胆な戦 略的展開に踏み出すことで、WSN のみならずEH-WSNの市場の拡大は必 然の方向性となる。本書は、そうした提言にも踏み込んで分析を進めている。

本文の例


ITを活用した社会インフラモニタリングに関しては、安倍政権の第三の矢である新たな成長戦略 (日本再興戦略)に明記されており、国家戦略の一部としての位置づけがなされた格好である。 日本再興戦略は、図に示す通り、日本産業再興プラン、戦略市場創造プラン、国際展開戦略の 3つの要素で構成されている。世界市場の3割を獲得するとされている。

・・・中略・・・・

インフラ点検・診断システムの項目において世界市場規模としてセンサー:0.5兆円(現在)→10 兆円(2030年)、モニタリングは2030年に20兆円の規模と見積もられている。2030年には、国 内の重要インフラ・老朽化インフラは全てセンサー、ロボット、非破壊検査技術等を活用した高度 で効率的な点検・補修となっていること、また、点検・補修センサー、ロボット等の世界市場の3 割を獲得することが目標として明記されている。