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ニンテンドー3DSによるオーディオガイド ルーブル美術館体験記

フランス・パリのルーブル美術館は任天堂と提携して2012年4月11日より、ニンテンドー3DSによるオーディオガイド・サービスを提供している。この度、現地において実際に 上記サービスを体験することが出来たので、ここにレポートする。

地下鉄PALAIS ROYAL MUSEE DU LOUVRE (パレ・ロワイヤル ミュゼー デュ ルーブル)駅を下車してルーブル美術館に向かうと、早速その敷地の入り口に貼られていた ニンテンドー3DSによるオーディオガイドのポスターの出迎えを受けた。

手荷物検査を受けて入館し、入場券(10ユーロ、18歳以下無料)を購入した後、同じフロアにあるニンテンドー3DSオーディオガイドのカウンターへ向かい、レンタル料金(5ユーロ)を支払い、 用紙に氏名を記入し、身分証明書(今回はパスポート)と引き換えにニンテンドー3DSを受け取る。3DSには首にかけるためのヒモと音声によるガイドを聞くためのヘッドフォンが付いている。 言語はフランス語、英語、ドイツ語、韓国語、スペイン語、イタリア語、日本語から選択できる。

使い方だが、主な展示作品(700点以上)にガイダンスのナンバーが示されており(写真参照)、このナンバーを3DSに入力すると、該当する展示作品のガイドが音声と3D映像によって開始される。 例えばミロのヴィーナスには図のようなナンバーが示されており、1024という番号を入力するとミロのヴィーナスに関する音声による説明が流れ、裸眼3Dディスプレイ上に3D映像が映し出される。

入口に貼られていたポスター
入口に貼られていたポスター


“ミロのヴィーナス”と、その足元に示されたナンバー

3DSを装着したところ。向かって右の後方が交換カウンター。本体のフタには、同サービススポンサー・KOREAN AIRLINEのロゴが貼られている。

3DSに次々に映し出される"ミロのヴィーナス"(左上、右上、左下) "サモトラケのニケ"展示風景(右下)

上記の写真のとおり、音声ガイダンスを聞きながら次々と前、横、後方など様々な角度からのミロのヴィーナスの3D映像が映し出される。2012年4月11日付の任天堂のニュースリリースによれば “「サモトラケのニケ」の裏側を見たいと思っても、壁があって後ろに回ることができないが、3D技術を活用すれば、あらゆる角度からの美術品鑑賞が可能になる”と、そのメリットをアピールしている。

このように、実際に3DS によるオーディオガイドを使用してルーブル美術館内を回ってみたわけだが、そのメリットは以下のようになる。

  1. 極めて貴重な展示物のそばには記載し切れない美術品に関する豊富な知識を、利用者の理解可能な言語による音声によるガイドで提供することにより、作品に対する理解を深めることができる。
  2. 上記ニュースリリースにもあるように、あらゆる角度からの美術品鑑賞が可能になる。
  3. 画面には現在地、主な展示物の所在地が示され、利用者が見たい作品を順次見て回ることが出来る。自分で順路を決定することも可能。

しかし、確かに“サモトラケのニケ”のように一部の展示物は特定の角度から鑑賞することは出来ないが、最も人気のある“ミロのヴィーナス”でさえ、当日は混雑していたが、 それほど長い時間待たされることなくあらゆる角度から鑑賞することが出来た。肝心の3D映像に関してはブレの少ない質の良い3D映像が実現されていたが、 実際に展示物が利用者の目の前にあるので、改めて3DSの映像を見る必要はあまりない。絵画の鑑賞の際には3D映像を視聴するメリットはないと言って差し支えないだろう。

また、当日は館内に7時間以上滞在していたが、3DSを使用開始後6時間ほどで電池が切れてしまった。別の機械に交換を依頼することも可能だったかもしれないが、 広い館内を歩いて交換カウンターにたどり着くのは容易ではなく、断念せざるを得なかった。電池に関してはサービスの提供側も利用者も留意する必要がある。

3DSによるオーディオガイド・サービスは、美術館を訪れる人たちに、より多角的な楽しみを提供することに貢献している。さらに3D本来の特質を活かしたアプリケーションを訴求するならば、 オーディオガイドに使われているソフトを美術館のガイドとしてだけではなく、美術館の外側にいるユーザ向けにもルーブルの美術品の情報をよりリアルな3D映像で提供することで、 ゲーム愛好家以外に新たな3DSのユーザ層の開拓の可能性もあるのではないだろうか。3Dは、これからもユーザの視点に立った新たなアプリケーションとマーケティングの模索が必要になる。