ふじわらロスチャイルドリミテッド

オンラインレポート

ISOM’10報告

1. はじめに

花蓮 ISOM’10が、2010年10月24-28 日の会期で、台湾の花蓮(Hualien)にあるParkview Hotel にて行われた。花蓮は、大理石の産地として有名で、少し山地に入ると写真のよ うな峡谷を観光できるコースがある。平地の多い西側と異なり、太平洋側は山岳地帯 で、最近の豪雨の被害で道路も寸断され、台北からは辛うじて列車と飛行機が交通手 段として可能な状態であった。

そんな中でも、参加者は台湾企業や学生の動員もあってか150 名程度を確保できてい た。事務局の努力に感謝の念で一杯である。今回のISOM の発表内容としては、図1に 示す通り、分類としては、Material and Material Science とHigh Density Recording の発表件数が減少している。 それに代わりInvited paper を含めてNew world (Other Future Science and Technology Available to Information Storage) の件 数が増加して、ISOM の今後の変容を示唆する形であった。New world を含め、今 後のISOM の運用の方向性に関しては、ISOM ステアリングコミッティ議長の篠田氏から発表があったが、これは後述する。

2. 光ストレージ概要

発表件数 今回のISOMにおける光ストレージ技術に関しては、BD多層(3層、16層)、FOD (Flexible Optical Disk)、Near Field (SIL)、 Hologram などの発表があった。以下に、ふじわらロスチャイルドの観点で注目した光ストレージ発表内容に関する 概要を整理してみる。

  • BD16 層は、TDKとパイオニアにより発表があった。トラッキングレイヤを独立させ ている構造であるため、各層にスタンパを必要とする従来の多層膜媒体とは同一に生 産性を論じられない。非常に透過率の高いライトワンス記録膜を16層重ねた記録媒体 により、500GB/sideを実現する可能性のあるシステムは、実用に近いストレージとし て、今後期待できる手段と言える。
  • SIL によるニアフィールド記録は、パナソニックよりL0, L1に一つのピックアップで アクセスを可能にした、2層で150GBのリライタブル記録システムである。New smoothing process を通したn=1.8のカバーレイヤを設けた媒体により、150GB/2 層の確認が出来たが、ディスクや光学系の最適化による180GB/2層の可能性も示し た。カバーレイヤで2.0 程度のn が実現できれば、240GB/2層、360GB/3層が可能 である。但し、高屈折率のカバーレイヤは、LG やYonsei大学で検討されているが、 高nと表面荒さの両立が実現していない。
  • SIL に関連して、パイオニアからhigh cooling rate structureを使ったマスタリング手法の発表があり、250GB ROM (48nm pit length) のピット形成が確認された。この 再生はSILベースのニアフィールドによって行われるが、100GB ROMでジッタ10% の評価を確認した。
  • パイオニアは、ポスターセッションにて、有機系多層膜媒体の可能性を示していた。その技術的な可能性が示されたと言える。
  • 高転送レートを実現するために考案された、FOD(Flexible Optical Disks) に於いては、 max 15,000rpmの高速回転安定化が必要で、スタビライザーとディスクの両面から の検討が必要である。今回、Axial Run-out の評価から、媒体厚みとして0.2mm が適 していることが確認された(NHK)。
  • FOD に関しては、SIL Based Near Fieldとの相性が良いと考えられ、延世大学など、 air gap controller の改良により、SIL Based Near Field とFOD 媒体の組み合わせで 5000rpm の実現可能性を確認した。
  • またNHK より、オートチェンジャーシステムとFODを組み合わせた、Terabyte Storage System のprototype の報告があった。2.5 Tera-bytes の容量と、1Gbps 以上 の転送レートを実現している。
  • Hologram Recording に関しては、InPhase 社の発表もなく、筆者としては、実用化が 近付いたという理解には至らなかった。

以上、主な発表の概要を示した。詳細については、新成長シナリオ2010(11 月発行)に記 す予定である。