オンラインレポート

ISOM2009の概要

今回は、長崎のブリックホールで行われた。出席者は約150名。長崎が海外に 開かれてから150年(日本の開国と同じ)の節目で、ISOM会期中に長崎くんち祭 りが行われるというめでたい環境の中で、出席者の少ない、特に欧米からの出席 者が非常に少ないISOMとなった。今回は、実用化可能な光ディスクの開発を急ぎ たいという雰囲気が強くなってきているといえ、現状からすれば歓迎すべき方向 といえる。

ISOM2009における主な開発方向のまとめ

近い将来を含めたBD50GBを越える実現可能性の高い媒体の開発方向性としては、

  • 1) BD-RE 3層化による100GB
  • 2) BD多層膜化による大容量化
  • 3) SILベースNFRによる200GB程度のROM及び書き換え型
  • 4) 0.1mm程度の薄膜ディスクを用いた高転送レートアーカイブシステム
  • 5) ホログラフィックレコーディングとその信頼性改善による実用化検討

が注目され、その他将来技術としては、プラズモン記録、3次元記録などが挙げ られる。

今回は実用化が前提といえる開発発表内容が充実していたともいえる。

1)のBD-RE 3層化による100GBに関しては、4層で100GB化するのではなく、一 層あたりの記録密度を向上させて、3層で100GB化するものであり、生産性を考え るとより進化した容量向上策といえる。Panasonic、TDKからそれぞれ異なる材料 系での3層化の技術発表があった。何れも、入射側にある層の透過率向上策が最 も核になる技術であり、透過率向上のため薄膜化した相変化膜の結晶化速度向上 対策などが新規に盛り込まれる。

2)のBD多層膜化による大容量化の検討では、昨年のROMの多層化(20層 500GB)に続き、パイオニアが、トラッキング用のレイヤーを別に設け専用のト ラッキングビームを用いてトラッキングを行い、多層化時に問題となるグルーブ がない記録膜を多層化することによって生産をしやすくする(ソフトスタンパを 使用しない)多層ディスクの開発を発表した。またTDKが無機材料を使った10層 の320GBライトワンスの可能性を示した。

3)のSILベースNFRによる200GB程度のROM及び書き換え型ディスクの開発にお いては、パイオニアがROMのマスタリングで200GB相当のピットサイズを実現した ことは特筆に価する。書き換え型に関しては、ディスクのトップコートで高屈折 率と良好な表面性の両立が課題として残っているが、ヘッドの衝突防止アルゴリ ズムの開発などに進展が見られた。更に、パイオニアから窒化物記録膜を使用し たSILベースのライトワンス型の発表があった。これによって、ROM / Write once / Rewtitableの3種が揃ったことになる。SILベースのNFRは非常に期待でき るPost-BDの候補のひとつとしてその地位を確立し始めている。

4)0.1mm程度の薄膜ディスクを用いた高転送レートアーカイブシステムについ ては、薄膜媒体の転送レート向上が可能であることをNHKなどがその開発成果を 示してきていたが、ここにきて、NECがオートチェンジャシステムを構築し、 トータル容量でも転送レートでも、システム化によりビデオアーカイブ用途で テープ媒体を凌ぐスペックを可能にした。特殊なスペック(特に転送レート)を 要求するビデオアーカイブ分野への光ディスク応用の解決策がようやく見えてき たといえる。

5)のホログラフィックレコーディングとその信頼性改善による実用化検討に ついては、ホログラフィック記録の根本が解決されたとは言いにくいが、その信 頼性に対するシステム側からの対応が示された。プロ用に関しては開発が完了し たとして、コンシューマ用途を目指した開発が進められているが、チルトなど桁 違いのスペックをできるだけ現在の民生レベルに近づけなければならない。 Inphase方式については日立がBDなどの規格に一桁違い程度まで近づいたと発表 した。SONYのCollinear方式ではほぼ民生レベルに近いスペックを実現したと発 表した。Inphaseのみならず、日立・東芝といった日本メーカの積極的な対応が 際立ってきている。

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