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3Dコンソーシアム主催会合の内容

3Dコンソーシアム&超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム合同特別講演会
「オールジャパンで3Dを勝ち抜く!」

近年急激に沸き起こった世界的な3Dブームの中で、3D市場での主導権争いが激化している。3D関連事業において、技術的に優位に立つ日本はなんとしても国際競争に勝ち抜いていかなくてはならない。そのためには、官民が一体となって、3Dの規格化・標準化において優位な立場に保持することが必須の条件である。

そのような状況の中で、2009年9月17日、バンダイナムコゲームス未来研究所「ファンシアター」において、3Dコンソーシアム&超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム合同特別講演会「オールジャパンで3Dを勝ち抜く!」(共催:3Dコンソーシアム〈3DC〉、超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム〈URCF〉)が開催され、国際的な競争においてオールジャパンとして連携を取り組む姿勢を示した。以下は、そのレポートである。

講演会に先立ち、3DC運営事務局次長今井孝一氏より開会の挨拶があり、北米で3D映画が人気を博したことを契機として世界的に3Dブームが到来していること、我が国も総務省・経済産業省を中心に、3D関係のプロジェクトを公募するなど官民挙げて様々な取り組みが進められようとしていることに触れ、3DCとURCFが連携して、このタイミングでオールジャパンの連携取り組みを強化に取り組んでいることを紹介した。

講演会のプログラムは以下のとおりである。

  1. 3D安全ガイドライン
    3DC 安全ガイドライン部会千葉滋氏 (シャープ株式会社)
  2. IECの3Dディスプレイ計測法標準化
    独立行政法人 産業技術総合研究所 氏家弘裕氏
    JEITA ディスプレイ標準化専門委員会 3Dプロジェクト主査IEC/TC110/3DDPExpert
    久武雄三氏(東芝モバイルディスプレイ株式会社)
  3. CIPA「ステレオ静止画像フォーマット」
    CIPA ステレオ画像分科会主査 吉田英明氏(オリンパスイメージング株式会社)
  4. DCAJにおける3D映像技術の開発(含むURCF活動)
    財団法人デジタルコンテンツ協会 田中勉氏
  5. NICTにおける3D技術の研究開発
    独立行政法人情報通信研究機構  木村和宏氏
  6. 新製品紹介&展示物紹介
    「あらゆる3Dメガネに対応したアクション 『ザ レジェンド オブ ハンタ オ』のご紹介」他
    株式会社バンダイナムコゲームスP-7事業本部 ヘッド3Dリサーチャー 宮澤篤氏
    株式会社バンダイナムコゲームス コンテンツ制作本部 制作ディビジョン 二 村忍氏
各発表のポイント
  1. 3D安全ガイドライン
    1.1. 「3D安全ガイドラインに関する業界の取り組み」緊急の課題として
    • ISO立体ガイドライン草案の策定(日本が先行して提案)
    • 立体映像自動評価装置の開発
    • 3DC安全ガイドラインの改定(草案を先取り)
    • ガイドライン普及活動
    を挙げた。そして世界に先駆けて日本が立体ガイドライン検証システムを開発すべきである。

    1.2. 「3D生体影響に関するISO国際ガイドライン」
    IWA (国際ワークショップ協定)に始まる映像の生体安全性についての国際標準 化活動の経緯、3Dに関する既存の国際ガイドラインの具体的な内容が紹介された。 さらに今後の国際標準化の展開として国際標準化に向けてのスケジュール、 3D映像において生体影響を生じる物理要因の時系列データ解析と3D映像中の物理 要因に応じて応答する生体影響モデルを設計することによって、生体安全性評価 装置の概念設計を行うとした。
  2. IECの3Dディスプレイ計測法標準化
    ISOはFPDの品質、IECはFPDの仕様を定める。前者は日本では人間工学会、後者は 産業界が集まって規格策定を行うが、 日本国内ではJEITAがそれを担当する。
    IEC/TC110が FPD関連であり。日本がその議長国となっており、その下部組織の 一つに、 3DDP Three Dimensional Display: 3DDがある。IEC/TC110/3DDPの国内 委員会の主査を久武氏が勤めている。 IEC国内委員会のメンバーの多くがISO委員を兼ねている。 IEC/TC110は日本が幹事国であり、今後の議論を主導していく。
  3. CIPA 『ステレオ静止画像フォーマット』
    民生機器分野に於いて3Dが普及するためには、フォーマットの標準化が不可欠である。 静止画についてはCIPAが、2008年8月に、ステレオ静止画像フォーマット “Stereo still Image Format for digital cameras” DC-006を制定した。同 フォーマットは、オリンパス、シャープ、三洋電機、ソニー4社の共同提案であり、 吉田氏はCIPAステレオ静止画フォーマット分科会主査として、この制定に尽 力した。その概要の発表である。
  4. 「NICT における3D技術の研究開発(含むURCF活動)
    平成21年度委託研究の具体的な内容は
    • 革新的三次元映像表示のためのデバイス技術
    • 三次元映像通信・放送のための中核的要素技術
    • 五感コミュニケー ションの中核的要素技術
    • 感性情報認知
    • 伝達技術
    • 超臨場感コミュニケー ションシステム
    • 三次元映像End-to-End通信
    • 放送システム
    である。
    URCF部会活動も紹介された。その活動内容は、
    • 立体映像WGによるセミナー
    • 多視点映像の実験系開発
    • 素材撮影
    • JGN2plusを用いた伝送実験
    • 立体映像シミュレータ開発
    • コンテンツ表現に関わる技術調査、課題抽出
    • コ ンテンツ技術ロードマップ明確化
    等があり、これらの活動を通じて、NICTは、 オールジャパンでの3D技術開発および普及促進に対して、多方面から寄与してい くとしている。
  5. 新製品紹介&展示物紹介

    「あらゆる3Dメガネに対応したアクション 『ザ レジェンド オブ ハン タオ』のご紹介」
    バンダイナムコゲームスより発売された立体視対応ゲーム「インビンシブル タ イガー ザレジェンド オブ ハン タオについて」の紹介があった。 このゲーム は、家庭用では初めてあらゆる立体視方式に対応しており、アナグリフ方式、 パッシブ方式(左右分割方式/上下分割方式)、 アクティブ方式(3D Ready テレビ/3D DLPテレビ)に対応しているという。この後、当日配布されたアナグリフ方式のメガネを使って、 上記ゲームのデモが行われた。
    また、当日会場には以下のデバイスの展示があった。(会社名50音順)

    • 株式会社キラ図研究所 【高品質高臨場感立体映像生成技術およびコンテンツ】
    • 株式会社NTTドコモ/セイコーエプソン株式会社/株式会社ロッコン(共同 出展)
      【2.57型XGA 8視点3Dディスプレイ】
    • 竹内幸一氏 【立体カメラ】
    • 株式会社ネットディメンション様 【MatrixEngineSDK】

    講演会の最後に3DC運営事務局次長今井孝一氏からの挨拶があり、福田内閣時代に福田首相が主導していた総合科学技術会議において、 国が重点的に注力すべき23項目の革新的技術として、iPS細胞や地球温暖化対策技術などと並んで3次元映像技術に対する取り組みが取り上げられているが、 本年9月に発足した鳩山新政権に対しても、本事項を踏まえて対応がなされることを熱望するとし た。今後、日本が国際的な競争力を付け、世界の市場をリードする立場となるよ う、 オールジャパンとしての取り組みが大いに期待される。

    詳細は、FRL発行の“Close Up 3D”をご参照ください。